脂質異常症とは?
脂質異常症は、血液中の「コレステロール」や「中性脂肪」が多すぎたり、少なすぎたりする状態を指します。
脂質異常症の主なタイプ:

  • LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高い
  • HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い
  • 中性脂肪が高い

脂質異常は心筋梗塞や脳梗塞の原因となることがあります。遺伝、食生活、運動不足、肥満などが関係しています。

コレステロールと中性脂肪の役割
コレステロールは、細胞の材料やホルモンの生成に関与する、体にとって大切な物質です。

  • LDLコレステロール:体の各部にコレステロールを運び、増えすぎると血管に蓄積し、動脈硬化を起こします。
  • HDLコレステロール:体内の余分なコレステロールを肝臓に戻し、動脈硬化を防ぎます。
  • 中性脂肪:多いとLDLコレステロールの質が悪化し、HDLコレステロールを減少させ、動脈硬化を促進します。

脂質異常症の治療目標は?
以下のように脂質をコントロールすることで心筋梗塞などの冠動脈疾患や脳梗塞のリスクの軽減をはかります。

  • HDLコレステロール: 40 mg/dL以上
  • 中性脂肪: 150 mg/dL未満
  • LDLコレステロール: 冠動脈疾患や脳梗塞がない場合:100~160 mg/dL未満

冠動脈疾患や脳梗塞がある場合:70~100 mg/dL未満

コレステロールや中性脂肪を下げるには?

  • 食事療法:適切なカロリーを守り、動物性脂肪や加工品を控え、魚や大豆を多く摂取しましょう。
  • 運動療法:週3回以上、軽く息が上がる程度の有酸素運動を30分以上行うことが理想的です。
  • 禁煙:喫煙はHDLコレステロールを減少させるため、禁煙が望まれます。

すでに心筋梗塞を経験された方は、早期の薬物治療を積極的に検討します。

家族性高コレステロール血症って?
遺伝的にLDLコレステロールが高い「家族性高コレステロール血症」という病気があります。動脈硬化の進行が速く、早期診断と治療が重要です。若いころから高いコレステロール値を指摘されている場合は、積極的に病院を受診しましょう。

最後に
コレステロールや中性脂肪は大事な栄養素ですが、多すぎると健康に悪影響を及ぼします。健康診断などで異常があれば、病院を受診して治療について相談していきましょう。

参考           日本動脈硬化学会(編): 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド 2023年版. 日本動脈硬化学会, 2023

脂質異常症・高脂血症